ミロのヴィーナス 再発見
描きたいと思ったら描くようにしている。
その気持ちになるまで案外色々な事をしている。
今の季節なら、窓に当たってしたたり落ちる雨の音に委ねながら、村上春樹のような想像力を掻き立てられる本を読んでみたり、忘れかけていたようなコネクションの人達に久しぶりにコンタクトを取ってみたり、身近な人間に会ってみたりする。
音楽探しに没頭したり、夕陽を見ながらちょっとした散策の旅に出たりもする。
そうやって「描く義務」を遠ざけると、自然と「描いてみるか!」とやる気になる。
思いつめたら、思い切って私のように物事を突き放してみると、案外見えなかった視点が見えるようになったり、逆に、また違った角度から物事に再度取り組めるようになるのではないか。
そんな気がする。
だから、思い詰まったらしばらく投げてみるのも、一つのアイデアだと思っている。
今日はちょうどその「描きたい気持ち」がまたMAXに昇ってきたので描きだした。
ちょうど2年前に完成させたと思っていた作品に目が入り引っ張り出す。
作品を見ていると、心境の変化によって使いたい色彩が変わるのが面白いと思う。
モチーフは2006年にフランスのルーブル美術館で見た「ミロのヴィーナス」。
紀元前の作品で、代表的なギリシャ彫刻の一つ。ヴィーナスとはギリシャ神話の中の美の女神「アフロディーテ」のラテン名。
1820年にエーゲ海のメロス島で一農夫によって発見された時には右手の肘まであったという話しもある
この農夫は美しさに魅了され、隠して自分のものにしていたが、フランスの侯爵によって購入され、その後ルーブル美術館に寄贈された。
その当時より名声を得ていた「ミロのヴィーナス」。この彫刻の両腕は発見される事はなかったとか、このヴィーナスの手であろう
「黄金の林檎」を持った手が発見されたとかいくつかの逸話が存在する。
ミロのヴィーナスが美しいと言われているのはそのプロポーションの黄金比にあると言われている。
体の部位の至る所に黄金比があるとの話し。
手がもがれているからこその、バランスが取れた「美」というものが生まれたといわれる彫刻の代表的な作品。
時間というものが、形を変えさせ、また「美の再発見」となったとも思える。
そんな事を考えながら改めて見ていると、
「再構築の余地あり」と直感が働く。
自分の中の「感覚の黄金比」に辿り着くまで探求してみようと思う。
しばらくは、また芸術家に戻れそうです(^^)